心理療法的音楽療法についての関連文献


筆者のプリストリーはドイツで”音楽療法の母”と呼ばれている。精神分析と即興音楽との相互関係を明らかにした先駆者であり、ドイツにも強い影響を与えた。深層心理的アプローチを目指すセラピストの必読書。(ちなみに訳者がそのアプローチの実践者とは限らない。翻訳本を手にするときはそのあたりも注目してみよう)

原書はドイツ語。この本はまさしくドイツのスタンダードな音楽療法について、ドイツ人音楽療法士2名が書いた心理療法的音楽療法についての入門書である。

読みやすい文体ながらも、実践者にとっては現場の現象を理解するときのヒントが十分に得られる内容である。とくに即興音楽への考え方は”ドイツ的”である。


原書はドイツ語でありドイツで出版されているため、この「音楽療法事典」は本来「ドイツの音楽療法事典」である。ドイツ音楽療法において使われる専門用語の内容が理解できる。また、ここに登場する複数の筆者たちはドイツ第一世代の代表的な音楽療法士たちである。

音楽療法に関連した隣接分野(心理学、哲学、教育学など)の解説もある。

筆者ブルーシアのことが、ドイツで話題になることはなかった。音楽療法の様々なアプローチが彼独自の視点でまとめられていると考えて読んでみよう。即興音楽はいろいろな臨床現場で使われる。その音は、理論的なバックグラウンドがあってこそ”意味”を持ち、治療にいかされていく。

原書はアメリカで出版されている。転移と逆転移の現象がどのように現れるかについて、13人のセラピストがそれぞれのメソッドから述べた文献。

”力動”とは別の言葉に言い換えれば”ダイナミック”のことであり、特に心の動きを指すときには”サイコダイナミック”と言われる。上級者向け

ドイツの心理療法的音楽療法についての本。まずは”心理療法とは何か?”についての理解を深めたい。

この本を読むと、いままで知らなかった音楽療法の世界が開かれる。即興音楽の使い方も含めて多面的な事例と共に、どのように音楽療法が心理療法になるのかを、あまり専門用語を使わずに分かりやすく解説されている。初心者向け


近代の心理療法はフロイトから始まっている。彼の古典的精神分析理論には多くの批判も存在するが、この理論を抜きにして深層心理への理解を深めることはできない。心理療法的音楽療法につながるキーワードが満載である。この本を読むときのポイントは「自分のことが書いてある」という気持ちを持つこと。上下巻の完読をおススメしたい。

音楽療法の中で行われている自由即興演奏は、まさしく遊びであり心的な現実である。私たちセラピストは本当によく”心的現実”を扱う。即興音楽の中にどれだけ多くの無意識的な真実と、ときに意識したくない残酷なメッセージが見えているかを理解するために、ウイニコットの理論は役に立つ。ドイツ語タイトルは「Vom Spiel zur Kreativität」


”基底欠損”とは、何と難しい日本語訳なのだろうか。つまりそのテーマは、母親の保護を最も必要としている時期に乳幼児がそれを得られない場合、その子の心はどうなっていくか。

彼らにはセラピストが意図して発する言語介入も、その意図した通りに伝わるとは限らない。上級者向け。

「臨床的自由即興音楽は、精神分析的発達心理学の理解なしにセラピーで活用することはできない」と言われ、まさにこの心理学と音楽の結びつきによって即興音楽は未完の宝庫に見えてくる。その原型を整えたクラインの発達理論と児童分析の方法は、音楽療法でもクライアントの内的世界を探求する方法に応用する。

この本がなぜ音楽療法の文献リストの中にあるのか、不思議に思うかもしれないが、この哲学的な本を好んで引用するドイツの音楽療法士は多い。

本当の”対話”は我汝関係の中で起こるが、それは自由即興でも体験できる。

 

精神分析を受けたフランスの女性作家の手記。精神分析家が事例を紹介する”分析的”な語りとは異なり、実際に精神分析を7年にわたって経験したことへの生々しい心の軌跡が綴られている。出血が止まらないことから始まり、言葉の本当の意味、意志疎通のための道具ではない言葉。あなたは自分の言葉の重みを図ったことがあるだろうか。音楽もまたそこに通じている。

スターンの「4つの自己感」は、音楽療法士修了試験の筆記問題に必ず出題されると言われたほど、乳幼児心理における重要な理論である。

音楽療法士がなぜ乳幼児の心理を勉強するのか。それは結局、目の前のクライアントは立派な大人であっても、セッションでは”別人”が現れるからである。

統合失調症患者に精神分析アプローチを行った有名な精神分析家の著作。

世界観を共有できないことに対してセラピストはどう向き合えばいいのか。「共にいる」ということの治療的意味を教えてくれる。

ミュンスター音楽療法科では必読書リストの1冊であった。上級者向け。

セラピスト養成講座で必読書の一冊。筆者アリス・ミラーの本はドイツでも必須文献であったが、本来はこれとは別の本だった。日本の読者には難しくこの本になった。しかしこの本でも簡単には読み進められない受講生が多くいる。「教育」「しつけ」「育児」を振り返ることは、ときにダイレクトに自らの過去と向き合わざるを得ない。

精神分析を理解したいすべての人に薦める本。筆者ベッテルハイム自身にはいろいろな問題があっただろうが、子どもの心(つまりは大人の心)を知ることと、それが童話を通して文化的背景から導くことができ、さらには治療へ生かしていることができることを示したことは業績である。童話とセラピーの親和性については、音楽療法でも研究している。



邦訳がまだない原書文献

少し古い本になるがドイツでこの本を知らない音楽療法士がいたら、そいつはモグリである。そのくらい有名な本だが邦訳本はない。

タイトルは「即興と音楽療法~自由な音楽におけるその可能性と有効性~」

 

残念ながらまだ日本語で読むことはできないが、ドイツの音楽療法の”学派(メソッド)”についての重要な文献である。

ドイツ語圏の音楽療法学派は複数存在しており、この本ではその創立者たちが自らの学派について自らの言葉で解説しているところに読み応えがある。

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ドイツには、障害を持つクライアントに分析的なアプローチで寄り添う研究が多く存在する。これもその1冊。知的障害者のうつ症状は見逃されやすく、間違った診断が下されたり、不適切なセラピーが行われたりすることがある。音楽療法はこうした患者の助けになる。

「知的障害とうつ病ー音楽療法的治療のチャンス」

1990年の初版本ではまだドイツの音楽療法は3つの分野にまたがっていた。つまり①医学的、②療育的、③心理療法的

この状況は1999年版においては変化しており、音楽療法といえば「音楽心理療法」のことを指すようになった。

今、この本を読み返すと初々しさの残る音楽心理療法の理論と実践について多数の音楽療法士が書き下ろした論文集。

形態学的音楽療法の代表的著作「私は語れないことを歌う」は、ドイツ人すら簡単には理解できないと言うほど、難解な理論と研究方法だが、音楽療法は単なる技法ではなく、1つの学術的方法論を持つ学問であることが、ここにしっかりと示されている。

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分析的音楽療法のセッション

にはコ・セラピストが登場することはあまりない。しかしここで筆者は珍しい提案を行っている。そもそも3人組はグループか否か、というよくあるテーマについても、精神分析的な視点から考察され、二人組、三人組、グループでのセラピーで起こる精神力動について、また精神科での音楽療法に乳幼児体験がどのように表出されるかについて詳細に述べられている。



心理療法の本として紹介したい。彼のテーゼは音楽療法の世界でもしばしば引用される。心理療法を語るとき、その技法に目が行きがちだが、大切なことはクライアントとセラピストの関係性である。この相互関係こそがセラピーのプロセスに大きな影響を与えることは、今やドイツ音楽療法界の常識になっている。

 

この本を知らないドイツの音楽療法士はいないであろう。精神障害の子供たちについて、フロイトの精神分析から理解しようと試みるこの分野での金字塔。障がいを持つ子供たちの心に分析的に近づこうとした精神分析家の中ではマノーニ、ベッテルハイム、ドルトの「少年ドミニクの場合」も興味深いが、これは音楽療法の本である。



ヨーロッパで音楽療法を学びたい人へ

「ヨーロッパにおける音楽療法士トレーニングプログラム」について英語でまとめられた本です。ヨーロッパ全土の教育機関のどこでどのような音楽療法が学べるか、そのほとんどが網羅されています。各国を比較検証するのも面白いでしょう。

ドイツ・オーストリア・スイス・ベルギー・オランダの音楽療法士養成機関の最新情報がまとまっているドイツ語の冊子。入学条件、授業料、入試、カリキュラム、メソッドなどについて知ることができます。発行元のドイツ音楽療法協会から取り寄せ。